子どもが増えない日本。人口減少社会の中で若い世代が苦しい生活をしています。子どものいる世代がZ世代という20代の若い世代に移り変わろうとしています。それまではミレニアム世代とかY世代という年代の人たちです。実はY世代はバブルの崩壊から暗黒の経済低迷時代を過ごし、就職難に苦しみました。戦後の第2次ベビーブームの余韻のあるY世代は第3次ベビーブームを引き起こすはずでした。しかしながら高度経済成長の成功体験があるために社会構造を変革できなかった日本社会は経済低迷と教育費の高騰を引きずることとなり当時の若者たちを苦境に陥れてしまいました。今でも未婚で低所得者でいる人は多く、年齢が上がるにつれて健康にも支障をきたした人が多くいます。
学校も1980年代の頃から学校改革だと言われ続けてはや40年が過ぎました。「ゆとり」「豊かな心」「生きる力」これらの言葉が飛び交い続けています。さて、その間にも少子化の波は進み、地方は学校規模の縮小化が進み、運営が困難になったとして統合合併が進みました。ある件では5年間に200校の小学校が消滅しました。一方都市圏では地方から移住してきた新しい家庭を持った人々が押し寄せ一時学校が分離するほど規模が大きくなっていったところもありました。しかし、これも一時のことで10年もすると子どもの数は減少していくという状況が繰り返されています。街は新しい住宅地がふえ、住宅バブルと言えるほどの地区もあれば空き家だらけの地区もあるというデストピア状態となってきています。
さて、学校はこの状況に翻弄され続けています。経済状況における施策とマスコミの情報により何も考えずに近視眼的な意識で進んできてしまいました。意識改革が必要なことはいうまでもありませんが、ネット社会に生まれたZ世代はきっと気づきます。日本だけが世界の潮流から取り残され、かつての先進国から陥落していく状況の中で自分達の将来について不安を持っていることでしょう。日本のZ世代が親となり子どもを学校に通わせることを拒否するのではないかとさえ思ってしまいます。こんな状況の中でこれまでの学校の仕組みは大きく変えていかなければなりません。そのためにはどんなことができるのだろうと思いは膨らみますが、現実は学校間にできている以前から存在する組織の存続に翻弄される教職員の姿です。教職員は学校で教育をする現場に立つばかりでなく、研修によりアップデートを繰り返しています。研修は新しい情報や技術的な学習ばかりでなくお互いの親睦を深めるという目的も含まれていました。ここ20年では学校に対する要求が激増しました。具体的な学習内容や教育課程に関することばかりでなく問題行動となるいじめや不登校、防災教育、情報教育などなど数えれば多岐にわたります。これを正規職員だけで業務にあたるのには限界を超えています。
教職員が自主的に運営している研究組織が存在しています。この運営は正規職員による加入によりかれこれ30年以上続けられています。校長をはじめとする正規職員であれば自動的に会員になり運営となっています。教科や領域によって細分化され部会が組織され自主的な研修と親睦をしていく仕組みとなっています。組織の枠組みは自治体によってわかれているところですが、学校数が多い都市圏であればたいへん多くの教職員によって運営されていますので総会ともなれば大掛かりなイベントの様相を博します。
学校数がわずかな自治体ですと組織の運営もがらりと変わって、アットホームな雰囲気となるのですが、問題は組織の構成についてとなります。近年、少子化により児童生徒の減少から、小中学校を合わせた義務教育学校を創設する自治体が増えてきました。単に教職員の人べらしを目論んだ施策と言えなくもないのですが、この仕組みにより学校が魅力的な学校として子どもの未来を作るものとなるかどうかは現場の教職員にかかっているものといえます。問題は教育委員会や学校管理職の器量が問題になることはいうまでもありません。