人口減少社会での学校教育は個別最適化が必至です。一人一人の才能は無限大と言っても良いでしょう。混沌とした社会を生きていくためには個々の力と良好な人間関係により豊かな社会を築くことが必要だと思います。今回の学習指導要領は個別最適化と協働的な学習が大きな柱として掲げられています。学習の大転換ともいうべき内容となりました。では前回、前々回の改訂ではどうだったかというと2000年、つまり前々回の改訂では週5日制に完全移行に伴って学習内容の削減と総合的な学習の時間が盛り込まれました。この時、世間ではゆとりと称されあたかもこれまでの学習内容を減らしたことで子どもたちのゆとりを持たせることが取り上げられました。総合的な学習とは自由研究に近く、みじかな問題を課題として探究的な学びをしていくことを求めたものです。地域教材だったり社会問題だったりする内容は教師自身が教材を生み出すという学習です。しかしながらそのコンセプトは十分な広がりを見せる前に世界的な学力調査での日本の低調ぶりが叫ばれ、次の指導要領は反動のように学習内容の増加と英語学習の必修化が入りました。全国規模の学力テストが実施されたのもこの頃です。学校とは何をするところか、子どもたちがどんな力をつけなければならないのか議論が活発になりました。当然のことながら学力のことが声高々に叫ばれ、テストの点数をいかに上げるかということが話題になりました。
当時も学校での問題はたくさんありました。問題行動、学級崩壊、不登校、保護者のクレーム、極め付けは東日本大震災などの激甚災害の増加による防災教育、さらに教師の猥褻問題など教員の不祥事など学校教育の問題は低年齢化と発生件数の増加は止まることを知りません。この5年間は教員の長時間労働の問題も大きくクローズアップされています。どれ一つとっても改善しているとは言い難い状況が続いています。
子供は確実に減っていますが、それに対応した政府は学校の統廃合でした。地方では過疎化が進んだ自治体の学校を次々と合併へ移行させました。文科省は学校規模の標準化をねらって次々と過疎地から学校が消えていきました。ところがそれでも少子化には対応しきれないので、小中学校を一つにした義務教育学校の設置を打ち出しています。小中一貫教育により中一ギャップと呼ばれる進学に伴う子どもたちの負担を和らげようということです。小中を6・3と区切ることも4・5にしたりすることができ、問題行動の低年齢化における高学年児童の生徒指導問題の解消や学習習慣の前倒しもねらっているところがあります。こうして、学校教育をなんとか維持していこうという目論見です。学び方の改革に合わせて学校の仕組みそのものも変えていこうとすることや世界の国の中でも最も教育予算の低い我が国の実情に合わせようとしていることが伺えます。実はまだまだたくさんの施策は打ち出されています。一つ一つ検証してく必要がありそうです。