剱岳登山その2

日の出前の剣山荘にて

昨日の午後夕立がありあたりはしっとりと濡れています。この時期の山の天気は午後必ずと言って良いほど雨が降ります。少し遅れて剣山荘に到着したグループはびっしょり濡れていました。濡れたウエアを乾かしたり、体調を整えたりと忙しそうに次の日の登頂に向けて準備をしていました。

我々は下山してきたグループからの情報や剣山荘に宿泊している人たちの様子から登頂への出発時刻は当初予定していた通り5時に設定し準備を進めました。

登頂にあたっては体力の温存をするため余分な荷物を剣山荘に置かせていただいて軽量化して臨みます。しかし、ヘルメット、スリング、カラビナ、レインウエアなど安全装備や水と食料など必要最小限の装備は必要であり、厳しい岩場の連続を考慮するとしっかりしたザックは必携と考えました。

近年、北アルプスなどの山行きではヘルメット装着が義務化されています。剱岳も例外ではなく、それだけではなく安全装備としてハーネスや安全環付きカラビナの使用が進められています。


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剣山荘ではヘルメットを1000円でレンタルするサービスもあるので利用することもできました。

朝2時半過ぎともなると廊下では出発の準備をするグループが動き始めていました。早いグループになると3時過ぎには出発しています。

しかし、絶対的な人数が少なめであることから、それほど急いで出発する必要がないということで特に変更はなく、4時ごろに朝食用の弁当(前日の夜に作ってもらって配布されている)を食べて出発に備えました。

剣山荘から剱岳山頂に向けて朝5時に出発しました。日の出はまだでしたが、一服劔への登頂までに朝日がさしてきました。前日歩いてきた立山の山肌を赤く染めて美しい情景の中、岩の峰に向かって歩を進めます。

朝日に照らされる剣山荘

一服劔を目指して登っていきます。

序盤からいきなり鎖場

すぐに岩場と鎖が出てきました。この先10回以上の鎖場が出てくるのでこの辺りは練習用です。

前劔に向かう

少しずつ高度を上げて足場が怪しくなってきます。下を見ると随分危険な崖の上を慎重に歩く場面が増えてきました。

前劔の向こうに見えてきます。

とにかく登り下りの連続。鎖場と高い崖を進むため精神的に疲れてきました。

平蔵の頭にて

右側を巻いて進みます。真ん中の鎖は帰り道ですが、これを下ってくるとはどんなルートなのでしょうか。帰りも心配になってきます。

頂上はもうすぐ

とにかく岩場を登って山頂を目指します。写真で見るとそうでもないですが、現場はかなりの高度感があります。

スリリングなキレット

橋の向こうに横移動の鎖場がありますが、垂直に切り立った崖が恐ろしい。高度感も抜群で個人的には一番緊張感が高まりました。橋より向こうの崖のことを考えると躊躇します。いざ通過しようとすると案外足場はしっかりしていて下さえ見なければ大丈夫です。ただ、鎖はヌルヌルしているし、手掛かりとなる岩の角も蝋を塗ったようにテカテカとしていて掴みにくくなっていました。鎖は新しい感じですが、これがない時にはどうやって通過したのでしょうか。この橋は登りのみ利用しました。幸い?下山時には通りませんでした。高所が苦手な方は辛い一コマです。

次はすぐに下りの鎖場

なんとか乗り越えて鎖場を下ると

カニのタテバイ

剱岳名物カニのタテバイに辿り着きました。ほぼ垂直に切り立ったがけに鎖が取り付けてあります。高さは50mほどでしょうか。取り付きポイント近くも落石がゴロゴロした急斜面です。

昨日、このポイントで渋滞が発生し下で待つ人が混雑したそうです。鎖にとりついたままなかなか登れず最大では70分待たされたとか。剣山荘を4時に出発したグループは大幅に時間を遅延して下山してきました。そのため一番心配していた地点でした。

この時は登山者が少なく、3時ごろ出発したグループはすでに登り切っていました。おかげでスムーズに進めます。

タテバイを通過

とりついて登り始めると、足場はしっかりしていて鎖と岩を掴みながら少しずつ登っていくと難なく登りきります。下を見ると高いところにいるのですが、鎖がしっかりしているのであまり恐怖感はありませんでした。

これを過ぎてしばらく進むを頂上に到達します。

立山連邦が見渡せる大パノラマ
山頂の祠

山頂付近は20名程度の人がいました。絶好の天気のため遠くまでよく見渡せます。少し休憩してすぐに下山の準備に取り掛かりました。

カニのヨコバイ

下山は登戸は別のルートを通過するポイントが何箇所かありました。登りに比べると歩きやすいところです。しかし、ヨコバイは切り立ったがけを鎖を頼りに左に進みます。幸い足場には印もつけてあり通過するのに問題は感じませんでした。ただ、下を見ると高度感はあります。少しずつ慎重に進みました。この鎖がなかった頃はどうやって通過したのだろうと思います。

平蔵の頭を上る下り道

下山といっても下り坂ばかりではなく岩を登って下るというルートです。下り専用ルートになっていました。

平蔵の頭を下る

しばらくは岩を少しずつ下ってきた道を戻っていきます。浮石に気をつけながら足場を確かめます。

長い階段

垂直降下の階段で上から見ると落差があるのですが、通過してみると楽に降りることができました。

前劔山頂

なんとかここまで戻ってきました。一服劔のピークが向こうに見えてきました。この後、大きく下って向こうのピークを越えて剣山荘まで戻ります。

帰ってきた剣山荘
剣山荘から室堂へ

無事剣山荘に辿り着き、少しの休憩を取った後、室堂に向けて出発しました。無事登頂を済ませたものの、設定時間より大幅に時間を費やしました。午後になりガスも出てきたため、急いで室堂に進みます。雪渓をこえる頃には雨も降り出しレインウエアを装着して進みました。ところが…

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劔御前小屋までくると晴れ間が広がり日差しが出てきて暑くなってきました。雪渓あたりでは15度だった気温が急上昇して25度をこえます。

雷鳥沢へ降下

往路で歩いた斜度の急な下山ルートを避け、大回りをしながら雷鳥沢を下るルートに変更して室堂に戻っていきます。室堂ターミナルは見えているものの、一度下ってさらに登り大きく回っている道のりが見えています。到着まで長い道のりです。

雷鳥沢

ようやく雷鳥沢におりました。右手にテント場が見えています。ここから登り返して室堂ターミナルまで長い道のりですが、道はよく整備されていて歩きやすくなりました。

室堂ターミナル

地獄谷やミクリガ池を過ぎると室堂ターミナルに到着です。時間がかかりましたが、立山連邦の大パノラマを満喫した快適な歩きでした。2日間の山歩きも終わりかと思うと感慨もひとしおです。実によく歩きました。

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今回の山旅の足元を支えてくれたのは新しく買ったトレッキングシューズでした。とても軽くて、しなやかなソールが歩きやすく、そして、メガグリップの強力なパワーを感じた頼もしいシューズでした。細身の足型に警戒感もありましたが履いてみるとしっかり足に馴染んでくれました。前に履いてソールが剥がれてしまったシリオのシューズもすごく足にあっていて破損した時にはショックだったのですが、この軽さと履き心地を体感すると戻れなくなりました。ただ、積雪時のアイゼンが必要になる場面では苦しいと思います。

また、ついでですが、登山前や下山後は暑いのでサンダルを活用しました。ゼロシューズのサンダルは折りたたんでザックに入れても、すごくコンパクトになります。薄底ソールは重量も軽く、裸足感覚で過ごせます。テント泊には必携のサンダルをいつも使用していますが、強度もしっかりあって安心です。今回の山旅でも大活躍してくれました。


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