学校でも有給制度というものがあります。年間に40日の休暇を取ることができます。学校には夏休み、冬休みなど長期休業日があり、登校せずに家庭で学習をする期間が昔からありました。日本の伝統行事であるお盆やお正月もこの期間に含まれていることは意味のあることだと感じます。近年、温暖化が叫ばれる中、学校にも冷暖房が完備されるようになり夏休み不要論がでています。そのためか、昔に比べて夏休みは10日程度短縮されるようになりました。今では当たり前になっているのでこのことが論議されることはあまりありません。長期休業というだけで保育園、幼稚園、子ども園といった幼児教育施設には長期休業はありません。中学校では部活、高校でも部活と補修など職員も生徒も学校での授業はないもののそれぞれ忙しい毎日となっています。小学校でもかつては水泳練習や登校日、補充学習など様々な形で子どもの育成をしてきました。
もともと、長期休業は西洋の帰属が行ってきた労働観に基づきます。彼らはいち早く権利として休暇というものをとらえてきました。学び方も遊び方も暮らし方も考え方が異なります。日本は仕事といえば職人といった風土があります。毎日毎日同じことを繰り返しながら仕事を喜びや生きがいとして取り組む姿勢がありました。明治時代に学校制度が始まったときもどちらかといえば子どもを学校に通わせたくないと思う保護者が多かったようです。学問より仕事を覚え、労働力として働かせたかったのです。その中には労働こそ美徳という観点があります。西洋では奴隷制度が普通だったのでその反動で人権問題として労働がありました。精神文化レベルが日本の方が高いといっても過言ではありません。そのため、権利に対する考え方が醸成されなかったと思われます。欧化政策により政治家や文化人が民主主義の在り方や市民革命の思想を日本でも展開しようとしました。ところが大戦や敗戦の影響で民衆の市民としての意識は十分とは言えないまま今日に至ります。
現在日本は貧困国家への路線を走り続けています。どんな職場でも長時間労働か、低賃金となっている状況の中で形だけの有給休暇とならないようにしていきたいのですが、学校現場ではどうでしょうか。個人の考え方もありますが、長期休業となると難しい状況となっていると思われます。昭和のころの教職員は飲酒の機会がずいぶん多く、体調を崩す人が多くみられましたが、それは避けたいところです。見聞を広げ探求による学びを続ける教職員が増えることを祈っています。