中止となった研修会は即座にオンラインに切り替わりました。切り替えの早さもコロナ禍の賜物です。朝から宿舎に入りPCの画面越しに研修を受けました。日本の公立学校教育は崖っぷちで文科省も大きく舵を切っていますが、現場ではなかなか進まない現実が残されています。哲学書や教育書などたくさんの書籍が出ています。いずれも、子どもたち一人一人を大切にすることや命や個性、存在の尊さを語っているものの現場はなかなか思ったようにことは運びません。いじめの問題、自殺の問題、暴力、問題行動と増加の一途です。疲弊した教員も精神的に追い込まれ現場は日々苦しい毎日となっています。
研修ではヨーロッパでの新教育運動について学んでいます。他国ではこれまでの蓄積と研鑽により、この混沌とした世界の中に適応できる仕組みとして注目をされるようになってきました。かつての日本でも大正デモクラシーの時代に全国各地で新教育運動が展開されています。学校現場で働いている人々もよく知らない事実ではないでしょうか。不幸なことに日本は大戦により潰されてしまうわけですが、戦後、復興と共にもっと早い時点で復活するべきでした。高度経済成長の時代、学歴社会と大学入試の下請けとなった中高は若者の思考を止めてしまいました。そして、ずるずると今まで子どもの発達と成長に目を向けているようでごまかしていたツケが社会の変化に飲み込まれています。
長年のツケは教員の犠牲と共に子どもに払われていくという状況になってきました。今や、学校での違和感をもつ教員と子どもは少なくありません。今回、研修にのぞんだ約20名の指導者はそんな教育を変えたいという思いで身銭を切り、貴重な時間と、感染のリスクを追いながら、参加しています。話をしているだけで勇気が湧いてきます。研修生は全国各地から個性的なメンバーと共に語り合うことは楽しい時間です。オンラインという形になったその後でも現地に残った少数のメンバーはわずかな時間に話ができました。とにかく有意義な時間を過ごしていることに違いはありません。生かしていただいてありがとうございました。